「真夜中の缶ビール」来栖Side




大好きな人と言われて思い付くのは?



小学生かよ、何だその質問。深夜テレビの、
偶然つけた番組のキャッチコピーだった。背中が無性に痒くなった。
缶ビール一本が、今日の働きを褒めたたえる。
大人を実感する瞬間。まぁ大人と言われて、随分たつが。

大好きな人?
ふとひっかかった。

結局あいつを想ってしまう。
あいつはどうだか知らない。
俺の一方的な想い。

深夜の酒は、少し自分を正直にさせる。


好きという言葉が、何とも歯痒い。
それが当て嵌まるのかも分からない。
愛してる?余計に、気持ち悪いだろ。

じゃあ、嫌いなのか?
いつも、ウザイと口癖にするほど嫌な相手なのか?

違うんだ。
本当は、本当は…。


大切な言葉だけが、喉を詰まらせる。それを、冷えたビールで流し込む。


初めて恋をしたような、
ガキか、俺は。


触れたい。


そんな風に思った。
近づきたい。
側に置いておきたい。
離したくない。
抱きしめたい。
キスがしたい。
抱きたい。


結局のところ、オスとしてそんなことを考えるのはたやすい。


そんなアイツは、毎日ニコニコと笑顔を振り撒いて自由奔放に振る舞う。
班長でありながら、そんなもんだから尻拭いは俺の役目。
同期で班長か部下かしか俺達に役職上の違いはない。嫌々とこなす。

ふりをする。

本当は、自由奔放なそんなところも好きなんだ。ある意味、憧れもする。
柔軟に動き回り、変化し、顔を変えるアイツに。俺には出来ないから。

だから、いいんだ。
尻拭いでも、何でも。
アイツが自由であれば。


こんな俺をアイツはどう思うだろう。
男が男を愛してしまった。

キスがしたくなる。
ワイシャツに隠れる白い肌を見たい。
ベットの上で言うことを聞かせたくなる。
束縛したくなる。
甘い声を濡れた声を、言わせたくなる。


そう、俺も男だ。
愛していると実感すれば、
それを考える。


どんな声で鳴くのだろうか。


アイツは、久遠とよく一緒に居る。
気にせずには…いられない。
見返りも求めず、尻拭いをしている訳ではない。

アイツに、アイツの目に俺は映っているのだろうか。


俺の目には、いや夢にさえお前は出てくる。

真っ白なシーツの上で、涙に揺れる瞳、上気した頬、綺麗な素肌、
そして俺を見つめる。夢の中で何度お前を抱いただろう。

どうすれば、お前に近づける。
どうすれば、俺は報われる。




答えをくれよ、伊達…。





今夜の酒はたちが悪いようだ。


やっぱり私は、あくまでも krdtの構図を来栖>伊達の
愛の大きさを描きたいんですね。束縛したいとか。そんな感じ。
とにかく、来栖さんの伊達さんへの愛は底なし沼です。
もう大好き過ぎるんです!